2010年04月20日

月の森に、カミよ眠れ:上橋菜穂子

月の森に、カミよ眠れ (偕成社文庫)
月の森に、カミよ眠れ (偕成社文庫)

上橋菜穂子さんのデビュー作のよう。物語も文章も荒っぽい感じで、読み進めるのに少し苦労した^^;

でもやっぱり面白い。稲作を中心とした文化が、狩猟・採集民族を呑み込んでいく様子はこうであったろうかと思わせる。“カミ”の存在の説明も印象深く、日本人が感じるカミやオニとは、こういうものであったかもしれないと思いました。

<掟>をいちど破ることは、崖からちょろちょろとふきだした湧水のようなもの。しだいにまわりをけずり、人にとっては考える気にもならぬほど長い時ののち、その水におのが身をけずられて、崖が崩れさる


この言葉が、とても重たい。人の愚かさを象徴しているようで、自分の愚かさを突きつけられるようで。
posted by ちー at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月14日

『第9地区』

district9

どくだねで小倉智明が面白かったと絶賛していて、つい観る気に。これは面白かった!なにしろ南アフリカ・ヨハネスブルグが舞台の南ア映画で、登場する俳優さんは誰も知らなくて、おまけにエイリアンが登場する色モノ臭さ、怪しさ満点なのに、観始めたらグイグイ引き込まれてしまった、すごい。

難民として保護したエイリアンを、居住区の第9地区から住民と離れた第10地区に移送する計画が持ち上がり、その指揮をとることになったヴィカス(シャルト・コプリー)。計画の実行中にアクシデントに見舞われ、自身がエイリアン化して世界中から追われる立場に。平凡で小心者で、自分のことしか考えない小市民のヴィカスが、最後には英雄になっていく。

映画には脚本はなく、設定や物語を教えられて、アドリブで演技していく方法で撮影されたそう。この小市民ヴィカスを、シャルト・コプリーが見事に演じていて、彼と一緒に恐れ、怒り、悲しむという具合に感情移入させられていく。

よく戦隊モノで登場してくるようなキショいエイリアンは、はじめは「なんじゃこりゃ」なのだけれど、実は人間よりもはるかに優れた文明を持っていて、精神的にも無為に殺傷を行わないのか、大量の武器を持っていても人間に向けることをしない。なにしに地球にきたのかも謎だし、猫缶求めて暴れたりする彼らは醜悪なのだけど、それを排除しようとする人間はさらに醜悪な感じで、でもこれって、世界中で行われている“人の行い”そのものだなと感じて、いろいろなことを考えさせられます。必見です。
posted by ちー at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『しあわせの隠れ場所』

The Brind Side

サンドラ・ブロックが第82回アカデミー賞で主演女優賞を獲った作品。おどおどした表情の黒人青年が気になって、受賞前から観たかった映画だが、まさか実話に基づく話だったとは。

モデルとなったマイケル・オアーは現在も現役のNFLスター選手とのことで、映画の最後にはホンモノの彼と家族が登場していた。

元気で威勢のいい女性を好演したサンドラ・ブロックは、まさにハマリ役だと思う。テキパキと物事を決めていって、なんでも自分の思い通りにしてしまう。小気味良かった。ちょっと“お涙ちょうだい”系のシリアスな物語を想像していたけれど、ユーモアもあり楽しい映画でした。
posted by ちー at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月16日

『フローズン・リバー』

映画『フローズン・リバー』

家族と“まともに暮らすため”に不法入国を手助けして報酬を得るようになった女性2人の物語。白人女性のレイ(メリッサ・レオ)は夫に新居の購入資金を持ち逃げされ、テレビのレンタル料も食事代にも事欠く状態に。先住民保留地に住むライラ(ミスティア・アップハム)は、義理の母に取り上げられた自分の子供をいつか引き取り一緒に暮らすためにお金が欲しい女性。2人が出会い、1回で高額報酬が得られる外国人不法入国の手助けに手を染めていきます。

ストーリー的にちょっと無理があると思うし、家族を守るためといっても安易すぎるとは思った。でも生きていくって大変なことだから、女の持つある種の潔さみたいなのは、理解できるしサバサバして気持ちいいかも。

2008年サンダンス映画祭で審査員大賞(グランプリ)ドラマ部門受賞し、それ以降いろいろな映画祭で監督賞や作品賞などを受賞している作品。
posted by ちー at 09:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月08日

『千年の祈り』

千年の祈り

離婚してアメリカで一人暮らしをする娘に会いに、中国・北京から父親がやってくる。父親も妻に先立たれ、一人暮らし中だが、結婚に失敗した娘の身の上を案じ、よりよい結婚をさせたいと願っている。でも娘は父に心を開かない。お互いに本音を話し合うことができないまま、時間だけがゆっくりと流れていく。

ハーヴェー・カイテルが出ていて大好きな『スモーク』を撮ったウェイン・ワン監督作品。風の音や明るい陽射しなど、静かな映像が大好き。父親が眺める窓の外の情景に、生きることの孤独と切なさを感じてしまいました。

なんか少し、途中で不覚にも寝てしまったという^^; でも静かに心にしみこむ映画でした。父親と仲良くなるイラン人のマダムの身の上が気の毒。息子に赤ちゃんが生まれると喜んでいたのに、結局「赤ちゃんの世話をさせたくない」との息子夫婦の理由によって老人ホームに入れられてしまうマダム。日本でもよくある親子関係です。

最後には、娘と父がお互いに少しだけ本音を言い合い、完全に打ち解けあうことはないけれど、少し距離が縮まって別れます。親子のほろ苦い姿かな。
posted by ちー at 14:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月19日

『ずっとあなたを愛してる』

ずっとあなたを愛してる

何年かぶりフランス映画。自分の息子を殺して15年の刑期を終えたジュリエットが、妹家族に迎えられて立ち直っていく姿を描いた静かな作品です。妹役のエルザ・ジルベルスタインという女優さんがとっても可愛くてきれい。心に沁みる映画でした。

主人公のジュリエットは、やまれぬ理由から子どもに手をかけてしまうわけですが、幸せそうに見える人々の誰もが心に闇を抱えている点も、身につまされました。生きるって、そういうことだよね。ともすると自分だけがつらい立場にあるように思ってしまいがちだけど、悩みの種は人それぞれで、それとどう向き合っていくのかが大事なんだな、と。

ジュリエットには支えとなる妹がいて、少ないけれど彼女を想ってくれる人が周囲にいる。でもたとえば途中で姿を消してしまうおまわりさんには、ジュリエット以外に心を許せる人がいなかったようで、そういう種類の孤独もあるなと思うとつらいかも。

いっぱい涙が出るので、観終わったあとはなんだかスッキリ。このところ、自分の気持ちを持て余している私にとっては、心地よい映画だったな。
posted by ちー at 15:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月12日

母なる大地 父なる空<上・下>:スー・ハリソン

母なる大地 父なる空〈上〉―アリューシャン黙示録
母なる大地父なる空〈下〉―アリューシャン黙示録

上橋菜穂子づいている今日このごろ。昔読んだこの本のことを思い出し、アマゾンで大人買いしてしまった^^;
アリューシャン黙示録とサブタイトルが付いているこちら、紀元前7000年前の北米アリューシャン列島を舞台に、何世代かにわたる人々の暮らしを描いた物語です。著者のスー・ハリソンが上橋さんと同じように、考古学・人類学・地理学を学び、6つのアメリカ先住民の言葉を習得したという人で、その学識に裏打ちされた描写がリアルなのが特徴的。

この『母なる大地−』は、襲撃された村の唯一の生き残りである〈黒曜石〉という美しい娘が、少女から大人の女性として成長する物語。紀元前の人々の暮らしが手に取るように想像できるのが楽しいのと、〈黒曜石〉の女性としての強さに惹かれます。生きていくためなら、どんなことでもやってのけるたくましさに、本当に勇気づけられる。自分を貶めるのではなく、誇りを持って、なおかつ屈する力強さって、すごい。しのごの悩んでないで、このように生きればいいんだと思います。
posted by ちー at 12:32| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月11日

『バグダッド・カフェ』

バグダッド・カフェ

ニュー・ディレクーターズカットというのを観てきました。
原題はどうやら『OUT OF ROSENHEIM』というみたい。砂漠の寂れたカフェに、ドイツから旅行中に夫と喧嘩別れした太った女がやってきて、怒ってばかりいる国人女の経営者とやがて固い友情で結ばれていくストーリー。ジェヴェッタ・スティールが歌った主題歌『コーリング・ユー』のけだるいメロディーと、荒涼とした砂漠に青い青い空、オレンジ色の夕景、カフェのシンボルの黄色いタンクが印象的で、ビデオで何度も観た作品です。

映画館で観るのはたぶん初めて。ミニシアターで、時間に間に合わなくて最初ちょびっと観られなかった上に、案内された席は前のおやじの頭で字幕が見えないという最悪なポジションだったけど、やっぱり観てよかった♪

ドイツ女・ジャスミンを演じているマリアンネ・ゼーゲブレヒトは、かなーり太めな女性だけど、美しいと感じるから不思議。断固としたところもあるのに柔軟で前向き。でも最初のほうでは途方にくれて泣いたりもしてたんですね、今までスルーしていたかも。対する黒人女・ブレンダを演じてるのは、CCH・パウンダー。とにかく嵐のように怒りまくって、どんなことも気に入らない。不満と悲しみでいっぱいの女性です。この人、どっかで観た人だなあと思っていたらやっぱり、XファイルとかERに出てた人だ!ということがわかってプチ感動。

今の自分は、ジャスミンとブレンダの中間くらい。ブレンダのときもあるし、ジャスミンの手前くらいのときもある。ジャスミンのようになれたらいいなあと思う。静かな風景が心に染み込んで、満たされました。
posted by ちー at 19:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月05日

虚空の旅人:上橋菜穂子

4101302758虚空の旅人 (新潮文庫)
新潮社 2008-07-29

by G-Tools


守り人シリーズの第4弾。2009年11月ごろ?に読了。守り人シリーズ最初の『精霊の守り人』でバルサに助けられた幼い皇太子・チャグムが成長し、隣国の祝い事の席に招かれて巻き込まれた事件を解決する物語。成長したチャグムがたくましく、惚れ惚れとします。舞台となる国が海辺の国で、小さな島々には海賊を生業とした人々が住み、生き生きとした明るい人々が登場して元気のいい物語。ゆるい縛りと経済的な利をもってひとつの国にまとまっているという、その国のあり方が面白いなと思います。このままRPGの原作にもできそうなお話。これもあっという間に読んでしまった。
posted by ちー at 09:25| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月03日

夢の守り人:上橋菜穂子

夢の守り人 (新潮文庫)夢の守り人 (新潮文庫)

by G-Tools


2009年10月ごろ読破。守り人シリーズの第3弾です。シリーズの中ではちょっと異色作かも。ファンタジー性が強く、中世ヨーロッパ風の印象です。少しストーリーも複雑?そうそう、ゲームのFF4に出てくる、リュートを弾く青年を思い出す物語でした。
posted by ちー at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。