2007年06月29日

バイブを買いに:夏石鈴子

バイブを買いに (角川文庫)バイブを買いに (角川文庫)

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いらっしゃいませ」ですっかりファンになってしまった夏石鈴子さんの、これはデビュー作。夏石さんは、今でも出版社にお勤めの編集者。その彼女が雑誌『リトルモア』創刊にあたり、友人から「書いて」と頼まれたのがこの「バイブを買いに」だったそうです。

ちょっとだけ恥ずかしいタイトルで、表紙を飾る大橋歩さんのイラストも、恥毛までしっかり描かれた裸の女性。なので、外で読むために別の本にかけてあったカバーを引っぺがしてかけました。

全部で8篇の短編集なんですが、どれも女の子のセックスを描いています。でもいやらしさは全然なくて、どれもとても誠実な小説でした。大事に大事に、ゆっくりと時間をかけて読みました。一気に読んでしまうのがもったいない気持ちで。

吉田秋生の「桜の園」というマンガが、女という性のやるせなさ、切なさみたいなのを描いていて、うんうんと共感を持ってときどき読むのですが、それに似た「あーあ、女ってヤツは」と思わせるような、女であることが疎ましいのと同時に愛しいような、そんな気持ちになる本です。夫に読ませたい。これを読んだら、夫はなんて思うかな。

ところで、この本を読むと比較的切ない気持ちになる人が多いんじゃないかと思うのですが、これを書いている夏石さんは2006年のインタビューの中で、「切ない恋愛は嫌」と言っています。

作家の読書道:第62回 夏石 鈴子

“切なさ”の次には現実の生活が続いていて、それをどうするかが大事なんだって。うーん、これも名言かも。こういう、読んで「きちんと生活しよう」という気持ちにさせてくれる小説が、私は好きなのです。

そうそう、そういえば「バイブを買いに」の解説が、料理家の高山なおみさんだったのも、ちょっと嬉しかった。高山なおみさんも好きなので。
posted by ちー at 17:15| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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