2010年04月20日

月の森に、カミよ眠れ:上橋菜穂子

月の森に、カミよ眠れ (偕成社文庫)
月の森に、カミよ眠れ (偕成社文庫)

上橋菜穂子さんのデビュー作のよう。物語も文章も荒っぽい感じで、読み進めるのに少し苦労した^^;

でもやっぱり面白い。稲作を中心とした文化が、狩猟・採集民族を呑み込んでいく様子はこうであったろうかと思わせる。“カミ”の存在の説明も印象深く、日本人が感じるカミやオニとは、こういうものであったかもしれないと思いました。

<掟>をいちど破ることは、崖からちょろちょろとふきだした湧水のようなもの。しだいにまわりをけずり、人にとっては考える気にもならぬほど長い時ののち、その水におのが身をけずられて、崖が崩れさる


この言葉が、とても重たい。人の愚かさを象徴しているようで、自分の愚かさを突きつけられるようで。
posted by ちー at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月12日

母なる大地 父なる空<上・下>:スー・ハリソン

母なる大地 父なる空〈上〉―アリューシャン黙示録
母なる大地父なる空〈下〉―アリューシャン黙示録

上橋菜穂子づいている今日このごろ。昔読んだこの本のことを思い出し、アマゾンで大人買いしてしまった^^;
アリューシャン黙示録とサブタイトルが付いているこちら、紀元前7000年前の北米アリューシャン列島を舞台に、何世代かにわたる人々の暮らしを描いた物語です。著者のスー・ハリソンが上橋さんと同じように、考古学・人類学・地理学を学び、6つのアメリカ先住民の言葉を習得したという人で、その学識に裏打ちされた描写がリアルなのが特徴的。

この『母なる大地−』は、襲撃された村の唯一の生き残りである〈黒曜石〉という美しい娘が、少女から大人の女性として成長する物語。紀元前の人々の暮らしが手に取るように想像できるのが楽しいのと、〈黒曜石〉の女性としての強さに惹かれます。生きていくためなら、どんなことでもやってのけるたくましさに、本当に勇気づけられる。自分を貶めるのではなく、誇りを持って、なおかつ屈する力強さって、すごい。しのごの悩んでないで、このように生きればいいんだと思います。
posted by ちー at 12:32| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月05日

虚空の旅人:上橋菜穂子

4101302758虚空の旅人 (新潮文庫)
新潮社 2008-07-29

by G-Tools


守り人シリーズの第4弾。2009年11月ごろ?に読了。守り人シリーズ最初の『精霊の守り人』でバルサに助けられた幼い皇太子・チャグムが成長し、隣国の祝い事の席に招かれて巻き込まれた事件を解決する物語。成長したチャグムがたくましく、惚れ惚れとします。舞台となる国が海辺の国で、小さな島々には海賊を生業とした人々が住み、生き生きとした明るい人々が登場して元気のいい物語。ゆるい縛りと経済的な利をもってひとつの国にまとまっているという、その国のあり方が面白いなと思います。このままRPGの原作にもできそうなお話。これもあっという間に読んでしまった。
posted by ちー at 09:25| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月03日

夢の守り人:上橋菜穂子

夢の守り人 (新潮文庫)夢の守り人 (新潮文庫)

by G-Tools


2009年10月ごろ読破。守り人シリーズの第3弾です。シリーズの中ではちょっと異色作かも。ファンタジー性が強く、中世ヨーロッパ風の印象です。少しストーリーも複雑?そうそう、ゲームのFF4に出てくる、リュートを弾く青年を思い出す物語でした。
posted by ちー at 17:19| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

闇の守り人:上橋菜穂子

闇の守り人 (新潮文庫)闇の守り人 (新潮文庫)

by G-Tools


『精霊の守り人』に続く守り人シリーズ第2弾。2009年10月ごろにワクテカで読みました。
『精霊の守り人』で、すっかり主人公・バルサのファンになった私は、彼女の生い立ちと人生を巡るこの話は、かなりお気に入りです。強いということはどういうことか、しみじみと味わって読みました。身も心も弱い私は、今からでも強くなれるだろうかなんて思ったり。
posted by ちー at 16:50| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月02日

精霊の守り人:上橋菜穂子

精霊の守り人 (新潮文庫)精霊の守り人 (新潮文庫)

by G-Tools


『獣の奏者エリン』が面白いと聞いて、上橋菜穂子の著書を読んでみることに。これは守り人シリーズの1冊目。女用心棒のバルサが暗殺されそうになった皇太子チャグムを助けるところから物語が始まります。
こんなにワクワク本を読んだのは何年ぶりだろう。手に汗握るアクションシーンや想像上の生き物たちの息遣い。ハラハラさせるストーリー展開。幸せな読書時間をありがとうと言いたいです。
posted by ちー at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月26日

インストール:綿矢りさ

インストールインストール
綿矢 りさ

by G-Tools


蛇にピアス」と同時に芥川賞を受賞した綿矢りささんの、これはデビュー作。高校在学中に書き上げたこの本は、4人の審査員から大絶賛を受けて満場一致で文藝賞を受賞したそう。

ある日不登校になることを決意した17歳の女子高生が、小学生の男の子に誘われるまま、学校に行かない日中、男の子の部屋で風俗嬢になりすましてチャットのアルバイトをする、というストーリーです。

最初、読むのに苦労しました。なんか頭に入ってこない文体で。休憩いれながら読了しました。途中からは文体に慣れて、さらさらっと読めたけど。

いい意味でも悪い意味でも、若いなあという印象です。正直、大絶賛されるほどかなあ、とも思いましたが、きちんとまとまっているし、読んで日が経っているけど内容もちゃんと覚えているし、だからやっぱりすごいのかな、と思います。

このあと、「蹴りたい背中」で芥川賞をとっちゃうワケですが、きっと少しこれから苦しいかもなあ、と思ったりします。若いので、いろんなこと経験してがんばってほしいですね。
posted by ちー at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月18日

ひげがあろうがなかろうが:今江祥智

ひげがあろうがなかろうがひげがあろうがなかろうが
今江 祥智
田島 征三
by G-Tools


厚さ5cmもある本。手のとるだけでもワクワク(^^)
パラパラとページを繰りながら流し読みすると、なんだか面白そう!
というわけで、予定外に借りてきた1冊。

私は読むのが遅いので、5cmの厚さの本はさすがに読破に時間がかかったけれど、勢いのある文体とぐんぐん展開する物語と、そしてダイナミックで元気のいい田島征三さんのイラストがステキな1冊でした。

時代小説とも昔話とも思える「ひげがあろうとなかろうと」は、山暮らしの父子の物語。父が子に、生きる術を教えていくやり方が、誠実で大人でカッコいい。自分はこんな風には子育てをしてこなかったなあ。最後はちょっと、苦い終わり方だけれど、それもまたよし。

同時収録されている「ひげのあるおやじたち」は、1970年に単行本としていったんは刊行され、人気で増刷もされたのに、一部差別的表現があるとのことで廃刊・絶版になっていたのだそう。「ちびくろさんぼ」みたい…。でも、そう文句をつけた組織の出版社からこうやって再刊行されることになったということは、誤解が解けたってこと、かな。一度葬られてしまった悔しさは、挿絵を描いた田島征三さんの日記ににじんでいました。さて、こちらは勧善懲悪風な痛快活劇。こっそりと能力を隠している人とか、下々の民衆が活躍するハナシって、「次はどうなるんだろう」とワクワク。

そのズンズン読ませる文章に、今江祥智さんってどんな人かなーと思っていたら、大好きな絵本「ぼちぼちいこか」の翻訳をした人だったとは!もっとこの人の本、読んでみよう。
posted by ちー at 12:15| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月04日

風花:川上弘美

風花風花
川上 弘美

by G-Tools


本屋さんで立ち読みして即買い。身につまされる内容で、どきどきわくわく。

夫に恋人がいることを知らされて、離婚するべきかどうか、心を乱されながら少しずつ自分を取り戻し、決断する女性の話です。同じ経験をしたので、苦くて痛い気持ちを持ちながらも読まずにいられない、そんな本でした。

それにしても。男は誰でも浮気するとか、よく聞くけれど、実際に自分の周りでダンナの浮気や女遊びが元でギクシャクしたりもめてる夫婦って、知らないなあ。私なんて、2回結婚して2回とも同じ経験してるのに。浮気しやすいタイプなのかな--;

主人公が家を出てアパートに引っ越してからの、小気味のいいこと。たぶん、また読むことでしょう。
posted by ちー at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月03日

てのひらの迷路:石田衣良

てのひらの迷路てのひらの迷路
石田 衣良

by G-Tools


石田衣良さんも、気になっていた作家のひとり。テレビのコメンテーターなんかもよくやっていて、つかみどころのないしゃべり方が面白い人だなあ、と。

教育テレビで、作家が作品を作るまでを記録するという45分くらいの番組で石田衣良さんを取材しているのがありました。読んだら自殺をやめたくなるような物語、というのが与えられたテーマで、無作為に本の中から選んだ3つの言葉をキーワードとして使う、というのが条件。石田さんは、スケッチブックのような紙に思いついたことをフローチャートを書くようにサラサラと書き込んでいって、短時間で物語のプロットをまとめてしまいました。そのプロットに従って、集中的に短時間で物語をまとめあげていく姿は、なかなか興味深いものがありました。

「どの作品」と決めていたわけではないけど、たまたま図書館に残っていた石田さんの作品がこの「てのひらの迷路」だけだったので、これが私の“初石田”です。どこかのPR誌に連載したのをまとめた本で、原稿用紙10枚程度の短編を集めたもの。それぞれの短編の前に、石田さんのプチ解説も掲載されていて、どういうシチュエーションで書いたかとか、なにを思って書いたか、などが説明されています。それを読みながら本編を読むと、石田さんが物語をつむいでいくさまが想像されて楽しかったです。

テレビで「すばらしいですねえ」なんてコメントしている声のトーンで読み終えました。面白い人だなあ。もう少し、いろいろと読んでみることにします。
posted by ちー at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月02日

蛇にピアス:金原ひとみ

蛇にピアス蛇にピアス
金原 ひとみ

by G-Tools


デビュー作のこの作品で、20歳で芥川賞を受賞してしまった金原ひとみさん。舌にピアスを入れたり背中に刺青を入れたりして、過激な性描写もあることが報道されて、読みたいような読みたくないような。そう思っていつも本棚を横目でチラチラしていたのですが、機が熟したので読みました。

最初は斜めから見下ろすような感じで読んでいたのが、途中から引き込まれて一気に読破。なるほど。なかなかグロテスクな物語。現代がグロってことか。救いがないような、それでも生は終わらないんだな。つらい中に強さのある小説でした。

そのあと、金原ひとみさんのインタビュー記事なんかを読んでいて知ったこと。彼女はあの金原瑞人さんのお嬢さんだったのです!なにが衝撃的って、この事実が一番です。涙でそうになりました、理由はよくわからないけど。感動でもないしショックでもないし、なんでだろう。そうかー金原瑞人さんのお嬢さんかー。

そうそう、この作品、蜷川幸雄監督で映画化されます。今撮影中?秋ごろ公開じゃないかな。肉体改造とか暴力とか、そういうのばっかりじゃなくて、きちんと内面を描写できるのかな、見てみたいような、観たくないような…。
posted by ちー at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月01日

袋小路の男:絲山秋子

袋小路の男袋小路の男
絲山 秋子

by G-Tools


絲山 秋子さんのことは、何かの賞を受賞されたときの新聞の書評を読んで、いつか読みたいと思っていた人。エッセイを借りてきた時には挫折して読みきれなかったのだけど、「袋小路の男」はすごく面白かった。袋小路の家に住む男を好きになって、プラトニックな関係のまま、自分がその男にとってどういう存在なのかと思いながら、呼ばれるといそいそと出かけていく、別の男と付き合っても、結局は袋小路の男に気持ちが戻っていく、そういう話。人を好きになることの真髄みたいな物語で、いいなあこういうの。サバサバとした文体もいい感じ。リズミカルなのかな。新宿が何度か出てくるところも懐かしくてうれしくなりました。一緒に収録されている「アーリオ オーリオ」もなかなか。スパゲッティが食べたくなります。ちなみに、袋小路の男は川端康成文学賞を受賞しているそうです。
posted by ちー at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月26日

ことばの食卓:武田百合子

ことばの食卓 (ちくま文庫)ことばの食卓 (ちくま文庫)
武田 百合子 野中 ユリ

by G-Tools


Village Vanguardという雑貨屋のような本屋さんがあって、わりと偏った本の品揃えが面白くて気に入っています。そこで見つけた本。

武田百合子さんというのは、小説家の武田泰淳の奥さんで、後年はエッセイストとして活躍された方だそうです。武田泰淳氏の小説も読んだことがないし、百合子さんのお名前も店頭ではじめて目にしたわけですが、この本の最初の「枇杷」という作品をちらちらと立ち読みしたら、もう欲しくなってしまいました。

病人で歯も失っていたダンナさんが枇杷をおいしそうに食べたときのエピソードを綴ったもので、それがとても艶かしくて、その食卓に一緒に座って眺めている気分になります。

野中ユリという人の画も、なかなか目を引きます。澁澤龍彦本の画なんかも描いていた人らしいですが、なるほど。ひきつけられる画風で、文章と重なって印象的。川上未映子さんもファンなんですね、知らなかった、へー。
posted by ちー at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月25日

おひとりさまの老後:上野千鶴子

おひとりさまの老後おひとりさまの老後
上野 千鶴子

by G-Tools


上野千鶴子さんの歯切れのよい文章やものの考え方はわりと好きで、店頭で見て迷わず購入したんです。歳をとって独りで暮らすことになる確立は、結婚している私でも50%はあるわけで、内容もおおいに気になるところだし、上野さんなら心を奮い立たせてくれるような言葉が並んでいる気がして。

「孤独に強くなる」その具体的なアドバイスはなるほど、ふむふむ。私には圧倒的にネットワークが不足しているな、とか、金銭的な不安はあるよね、と自分に照らしてチェック。介護されることになったときの心構えなどは、自分の母親を見ているとつくづく同感するところあり。

それにしても上野千鶴子さん。「私はジェンダーフリーは唱えているけど、別にフェミニストでもなんでもない」と言っていなかったっけ。なんだか文章の隙間に、強烈な「男ってやつは…」調を感じてしまって、なんとなく脱力。私のモノの見方が変わったのかな…。
posted by ちー at 09:34| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月24日

天使の卵:村山由佳

天使の卵(エンジェルス・エッグ)天使の卵(エンジェルス・エッグ)
村山 由佳

by G-Tools


確か、直木賞なんかもとっていて、最近本屋さんでもよく見かける“気になっている作家”だったので、図書館で借りてみた。この作品で「小説すばる新人賞」をとっているんですね。サラサラと読めて楽しめる内容でした。最後のオチが、あまり好きではないのだけど、まあそれはそれで劇的でいいのかもしれないです。映画になりそうなストーリーだなあと思っていたら、やっぱり映画化されていました。キャストが市原隼人くんと小西真奈美ちゃん、小西真奈美ちゃんの妹役が沢尻エリカだって。ちょっと、イメージ違うかな、というのが逆に見てみたい気になります。
posted by ちー at 16:24| Comment(0) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月08日

ラヴソング:伊藤比呂美

ラヴソングラヴソング

by G-Tools


このところ、伊藤比呂美づいている私。「はじめに」によると、「それまでの、商売繁盛で、家内円満な日々は、夢と消え去り、家庭は(望んだように)あやうくなり、男とはもつれ、さらにあらたな関係や出会いにいちいちつまずき、人生は生き地獄の様相となっ」った、そんな頃にあちこちに書いていた詩やエッセイやものがたりをまとめたのが、この「ラヴソング」だそうです。

「どれもこれも、あんまりつらくて、長い間、読みかえすこともできませんでした」と書いてあるとおり、本当にどれも「痛い」です。生ナマしくて血が噴き出しそうな文章の数々です。

だから、とても健康なときに読むと、少しイヤな気持ちになるかも。私は今、自分自身が「痛い」時期だから、慰められました。

伊藤比呂美さんの言葉は、リズムと使い方がとても好き。
posted by ちー at 08:49| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月29日

バイブを買いに:夏石鈴子

バイブを買いに (角川文庫)バイブを買いに (角川文庫)

by G-Tools


いらっしゃいませ」ですっかりファンになってしまった夏石鈴子さんの、これはデビュー作。夏石さんは、今でも出版社にお勤めの編集者。その彼女が雑誌『リトルモア』創刊にあたり、友人から「書いて」と頼まれたのがこの「バイブを買いに」だったそうです。

ちょっとだけ恥ずかしいタイトルで、表紙を飾る大橋歩さんのイラストも、恥毛までしっかり描かれた裸の女性。なので、外で読むために別の本にかけてあったカバーを引っぺがしてかけました。

全部で8篇の短編集なんですが、どれも女の子のセックスを描いています。でもいやらしさは全然なくて、どれもとても誠実な小説でした。大事に大事に、ゆっくりと時間をかけて読みました。一気に読んでしまうのがもったいない気持ちで。

吉田秋生の「桜の園」というマンガが、女という性のやるせなさ、切なさみたいなのを描いていて、うんうんと共感を持ってときどき読むのですが、それに似た「あーあ、女ってヤツは」と思わせるような、女であることが疎ましいのと同時に愛しいような、そんな気持ちになる本です。夫に読ませたい。これを読んだら、夫はなんて思うかな。

ところで、この本を読むと比較的切ない気持ちになる人が多いんじゃないかと思うのですが、これを書いている夏石さんは2006年のインタビューの中で、「切ない恋愛は嫌」と言っています。

作家の読書道:第62回 夏石 鈴子

“切なさ”の次には現実の生活が続いていて、それをどうするかが大事なんだって。うーん、これも名言かも。こういう、読んで「きちんと生活しよう」という気持ちにさせてくれる小説が、私は好きなのです。

そうそう、そういえば「バイブを買いに」の解説が、料理家の高山なおみさんだったのも、ちょっと嬉しかった。高山なおみさんも好きなので。
posted by ちー at 17:15| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月22日

にごりえ他:樋口一葉,伊藤比呂美

にごりえ 他 (河出文庫 現代語訳・樋口一葉【全5巻】)にごりえ 他 (河出文庫 現代語訳・樋口一葉【全5巻】)
伊藤 比呂美

by G-Tools


伊藤比呂美による現代語訳の「にごりえ」、「この子」、「裏紫」。伊藤比呂美の訳ということで、どんな文章になっているか楽しみで読んでみました。

3作品とも、普遍的なテーマが題材で、ああ女って昔っからこうなのね、と思わされる物語ばかり。面白かったです。「にごりえ」は青空文庫の文語体のと見比べながら読みました。確かに文語体は読みにくい!でも、言葉遣いのきっぷの良さというか、ぐいぐい物語の中に引き込む力が、樋口一葉にはあるみたい。そんな雰囲気を、伊藤比呂美も上手にすくいとって書き起しているなあ、と思います。

どれも身につまされる内容なんだけれど、特に「この子」にはドキッとしました。小さな猜疑心、不信感から、家庭の中がうまくいかなくなる、その心模様が手に取るようにわかります。でも、子を持ったことで気づくんです。気づいて賢くなった女のお話です。

「にごりえ」に登場する商売女のお力も、そのお力に入れあげて身上をつぶした源七にくどくどと説教する女房・お初も、「この子」の気づく女も、「裏紫」の優しい夫を裏切る“あたし”も、どの女も自分の中にいるみたい。だから身につまされるんだな、きっと。
posted by ちー at 09:08| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月09日

アルゼンチンババア:よしもとばなな

アルゼンチンババア (幻冬舎文庫)アルゼンチンババア (幻冬舎文庫)

by G-Tools


半年ほど前に読んだとき、忙しくてアップできずにいました。で、記録を書こうと思って、また読んでしまった…。 すでに映画も公開されていますね、買ったときは帯に「映画化決定!」の文字が躍っていたのですが。

薄い本で、さらさらと読めてしまいます。母親が病気で亡くなったあと、町で変人扱いされている「アルゼンチンババア」なる女性のところに転がり込んでしまった父。その父とアルゼンチンババアとを訪ねた娘が、父のこれまでの人生と、新しく始めた生き方とを受け止め、自身も前進する物語…、でしょうか。

本の後ろには「哀しみを乗り越えていっそう輝く命と、真の幸福の姿を描く大傑作」とあります。大傑作はちょっと大袈裟、と正直思いましたけど、ふわふわとした優しい読み心地ではあります。

映画では、役所浩司が父親役とのこと。もうちょっと枯れたイメージなんだけど、どうかしら。映画もそのうち、見てみようと思います。掘北真希ちゃん好きだし。
posted by ちー at 13:30| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月04日

家庭の医学:西 成彦、伊藤 比呂美

家庭の医学家庭の医学
西 成彦 伊藤 比呂美

by G-Tools


アマゾンに画像がない!なんでかなあ。
それはともかく。小気味のいい文章が大好きな伊藤 比呂美さんと、そのダンナさん(元?)の共著です。家庭を営むということ、子どもを育てるということは、愛のあふれる美しいものなんかではなく、大昔から憎悪と苦しみと痛みと困難と怒りと、そんな感情につきまとわれながら行われてきたことなんだよ、ということを解説した本です(と私は受け取りました)。続きを読む
posted by ちー at 11:04| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。